
当社は当事業年度の基本方針に「ジョイフル本田のファンをつくる!!」を掲げ、前事業年度の基本方針「原点回帰と新しい企業文化の創造」を踏襲しつつ当社の現状を踏まえた次の5つのテーマを策定し業務に取り組んでまいりました。
①「人への投資」
②「お客様の問題解決に本気で取り組む」
③「デジタル戦略」
④「既存店の魅力をあげるための投資」
⑤「積極的出店できる体制の構築」
「人への投資」においては、創業50周年を迎えるにあたり福利厚生の推進策としてジョイフル本田グループ従業員持株会を通じて、当社従業員へ譲渡制限付株式を付与いたしました。これにより当社株主の皆様との一層の価値共有を図り、また持続的な企業価値向上のためのインセンティブを与えることで、人的資本の強化につながり、職場環境の改善とともに当社従業員の意識改革にも努めました。さらに、女性活躍推進の観点から女性の売場担当責任者を増やし、多様な視点にもとづく考える接客を実践することで、販売促進を強化いたしました。
「お客様の問題解決に本気で取り組む」においては、成長可能な店舗づくりのために店舗教育課を設置し、売場担当者の専門性を高める「スキルマップ」を作成いたしました。今後、スキルマップの活用により、専門知識の習得・技術承継による接客力を強化してまいります。またリアル店舗である当社の強みを活かし修理室専門の教育チームによる指導も行ってまいります。
「デジタル戦略」においては、将来における多店舗展開等を視野に入れた物流体制の構築を目的に2025年4月、物流センター(TC)を開設し運用を開始いたしました。物流センターの稼働に伴い店舗における検品時間、品出し時間等の短縮につながり、この改善効果により捻出した時間を接客時間等の業務に割り当てることで、効果的な店舗運営が可能となりました。今後も物流センターの導入取引事業者を順次拡大してまいります。また、フルセルフレジの導入による業務の効率化を推進、接客時間を確保することで顧客接点の拡大を図り、さらにモバイル端末の活用推進による検品・発注・伝票起票等の業務時間を削減、生産性向上に向けて運営体制を整備いたしました。
「既存店の魅力をあげるための投資」においては、売場ゾーニングの見直しやお客様の利便性が向上する魅力あるテナント等の誘致を積極的に推進したほか、2025年6月には、荒川沖店(茨城県土浦市)、古河店(茨城県古河市)、幸手店(埼玉県幸手市)のほか、対象11店舗、16施設への太陽光発電設備の設置が完了、うち10店舗では蓄電池が併設され、本格稼働がスタートいたしました。すべての太陽光設備の稼働により年間の総発電量は約1,000万kWhとなり、太陽光パネルを設置した施設全体の約25%の電力を屋根上で賄うことになります。これにより年間約3,800トンのCO2排出量削減を見込んでおります。また千葉ニュータウン店の広大な駐車場を利用したソーラーカーポートが2025年6月に完成、既存の屋根上設置型の太陽光発電と合わせて環境価値を補填することにより、さらに電力自給率を高め電気代の削減に寄与しております。
「積極的出店できる体制の構築」においては、新店改装課を設置し店舗の新フォーマットを活用、店舗規模・敷地面積に応じて柔軟に対応することで、スピーディーな出店体制を構築しております。当事業年度においては、2025年6月に群馬県伊勢崎市にペット専門店「Pet's CLOVER」の2号店と新業態である「ジョイフル本田 資材館」をオープンいたしました。「ジョイフル本田 資材館」は、プロショップ「本田屋」のプロユース向けの工具、作業用品の品揃えに加え、業務用塗料、養生資材、電設資材、給水部材、非住宅設備等の現場に必要な資材を供給する新業態の店舗であり、今後も利便性と効率性を重視した「資材館」モデルの店舗についても順次拡大してまいります。
主要テーマの施策のほかにも様々な取り組みを実行いたしました。
資本政策にかかる取り組みとしては、一部株主様からの当社株式の売却意向を踏まえ、当社株式の円滑な売却機会の提供と株主構成の能動的な再構築を図ることを目的に当社株式の売出しを実施いたしました。また株主還元の強化と資本効率の向上を図り、売出しに伴う当社株式需給への影響等を鑑み、株式の売出しと同時に自己株式の取得も実施いたしました。また当社の株主優待制度については、より多くの株主の皆様にファンとなっていただき、中長期的に当社株式を保有していただける株主様の拡大と株主優待制度の一層の拡充を図ることを目的に株主優待制度を変更いたしました。通常優待の贈呈額を増額するとともに、毎年6月20日の基準日において、3年以上継続保有している株主様を対象に、ワンランク上の株主優待品を贈呈する「長期保有株主優待制度」も新設いたしました。
企業評価における取り組みとしては、当社の事業内容および財務状況について、第三者機関からの客観的評価として、株式会社格付投資情報センター(R&I)による発行体格付「A-」、方向性「安定的」を取得いたしました。本件の格付取得により経営の透明性と対外的な信用力を高め、企業価値の向上と今後の資金調達の多様化につなげてまいります。また、ESG投資の世界的な評価指標であるMSCIレーティング(注)において「AA」評価を獲得いたしました。MSCIレーティングは、業界固有のESGリスクおよび同業他社と比較した当該リスクに対する管理能力を評価するもので、当社のESGに対する取り組みが評価され、昨年の「A」評価から「AA」評価へ格上げされました。
これらの取り組みのほか、当社は地域社会の一員として、各自治体等と連携した防災・災害対応等の強化を積極的に進めており、当事業年度は新たに埼玉県北葛飾郡杉戸町、茨城県ひたちなか市、群馬県北群馬郡吉岡町、群馬県太田市、茨城県取手市のほか、株式会社NTTドコモと災害時における相互協力に関する協定等を締結いたしました。本件により、これまでに21の自治体等1事業者等との災害時における支援協力に関する協定等を締結いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,289億80百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は107億48百万円(前年同期比1.7%増)、経常利益は118億78百万円(前年同期比2.0%増)、当期純利益は83億27百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
(注)株式会社ジョイフル本田によるMSCI ESG Research LLCまたはその関連会社(以下「MSCI」)のデータの使用、およびMSCIのロゴ、商標、サービスマークまたはインデックス名称の使用は、株式会社ジョイフル本田の後援、推奨、または広告宣伝に相当するものではありません。MSCIのサービスおよびデータは、MSCIまたはその情報提供者の財産であり、その情報は現状のまま無保証で提供されます。MSCIの名称およびロゴは、MSCIの商標またはサービスマークです。
原材料価格の高騰や温暖化による二季化の進行、防災防犯関連需要の高まりがより鮮明に顕在化している市場環境の中、資材・プロ用品関連では建築コストの上昇や職人不足から新築着工件数が低迷、木材・建築資材が低調だった半面、「本田屋」はじめ同売場ブランドのインショップ化推進によりプロ向け商材は好調に推移しました。一方で猛暑の影響によりガーデニングなどの屋外作業は敬遠される傾向が強まり、花苗・野菜苗および関連カテゴリが苦戦しましたが、空調衣料やタイムパフォーマンスを改善する機械関連、夏物家電や遮熱商材、涼感アイテム等は好調に推移しました。また、気象庁による南海トラフ地震の臨時情報の発表を受け、防災意識の急激な高まりから防災関連商材や、相次ぐ強盗事件の報道等による防犯意識の高まりから防犯カメラやセンサーライトなどの防犯関連商材や付随する工事が好調に推移しました。
以上の結果、当事業年度における「住まい」に関する分野の売上高は、727億76百万円(前年同期比0.9%増)となりました。
2024年8月に南海トラフ地震の臨時情報が発表されて以降、防災関連意識の高まりとともに、家庭内へのコメ備蓄需要が大幅に増加しました。新米の流通以降もコメの需給環境に改善が見られず、またコメ不足の報道等の影響や旺盛な需要により好調に推移しました。また防災食やポータブル電源、簡易トイレなどの動向が一段と活発化しました。物価上昇に伴う節約志向が強まり高単価商品の買い控えが見られた一方で、長巻タイプのトイレットペーパーなど、コストパフォーマンスの良い商品の動向が好調でした。また、ペット関連における高付加価値商品へのニーズは底堅く、特に機能性を重視した商品や自然素材を使ったプレミアムフードが好調であったことに加え、外出機会の増加によりリードやペット用アパレルなどの関連用品への需要も高まりました。
以上の結果、当事業年度における「生活」に関する分野の売上高は、562億4百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
(%表示は、通期は対前期、四半期は対前年同四半期増減率)
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
1株当たり 当期純利益 |
|||||
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
円 銭 |
|
第2四半期(累計) |
66,700 |
2.5 |
5,150 |
△12.6 |
5,720 |
△11.3 |
4,080 |
△7.1 |
67.71 |
通期 |
133,000 |
3.1 |
10,000 |
△7.0 |
11,200 |
△5.7 |
7,850 |
△5.7 |
130.27 |